2019/07/07
第20回 日本体験学習研究会 全国大会 報告
今回は、「意思表示って大事だよ」というテーマで取り組みました。
情報カードを用いた財を実施するときには、「全員が解決の道筋を言えるようにしましょう」などと声かけすることにより、グループ全員が理解できるように促す場合もあります。一部の人で進めてしまい、おいていかれている気持ちになることもあります。
「人間3Dプリンター」の財では各自が作品を作ることにより、わからないことをそのままにしておくことができません。「わからない」「教えて」と意思表示をすることにより、グループ全体の理解が進みます。「わからない」ことは悪いことではなく、課題達成に役に立つことなのです。
プログラムの流れ
〇今回の提案について
〇アイスブレイク(グループ分け):あいさつをしながら誕生日順に並んでみる
○財体験 GWT財「人間3Dプリンター」体験
ねらい
グループ全員が課題を達成する喜びを体験する
意思表示することが課題達成につながることに気づく
○討議 & 質疑応答
体験が終わって参加者からいただいたフィードバックより
○「人間3Dプリンター」のふりかえりより
・自分も作るという点で教えてもらう、素直に聞くことがあり協力しやすい
・この人はこんなところが得意とよさが分かりやすい
・グループから落ちこぼれにくい
・コマを知っている人がいると進め方の差が出る
・折り紙の得意、不得意がある
・見に行っている間もグループの作業が進んでいる(不安)共有できるようにすることが必要
・教えるときに幅がある表現はわかりにくいが、幅がないと分かりやすい「ぎりぎりまで曲げて」イメージのある表現が分かる
・進め方のルール決めが大事 途中からのルール決め
例 役割分担を決めたが、その後自然発生的にペアで教え合うようになった
・みんなでやるという意識を持ってやった。個人ばらばらでやるという方法もある
・私が全部見て講習会みたいになっていた。「一度見てきたら」と言って見に行った。黄色と緑色の見本が別のところにあったらまた動きが変わったか。
・大人社会では、リーダーが見に行くという方法が合理的ということもある
・得意な人が進め、自分はできない、まかせておけばよいと感じ、頼って貢献できていないと感じた。
・満足度と達成度とは一致しない 何に対しての満足度は人によって違う
○全体のふりかえり
・わからないことがだめであるという自己概念を持ってしまう。
・「わからない」を言える安心、安全の場であることを最初に伝えておくことは大切(特に子どもの場合)
・説明を聞いて自分がわからないと、足を引っ張っている気になってしまいがちだが、わからないことがゴールへのプロセスになっていることがよい
・ふりかえりに意思表示の項目があるとよい
・「わからない」を言ったときにまわりがどう受け止めたかが大事 わからないが役に立ったとなるとよい
・どうふるまったらよい評価を受けられるかという思考をもっている子どももいる。「意思表示をする」という課題を知らせない方がよい。グループで1位になることがWinと思う子どももいる。
・折り紙だから起こることがある。説明の用語の中に、折り鶴や、やっこさんがでてきていた。共通認識に基づいていることに気付いた。
2018/06/24
第19回 日本体験学習研究会 全国大会 報告
今回は、「協力するって何だろう?」というテーマで取り組みました。今までの定例会の中で力を合わせるGWT財を「協力もの」と簡略化して言うことがありましたが、どのGWT財も協力をしている、協力とは何だ?というところが出発点でした。
プログラムの流れ
○今回の提案について 「協力する」って何だろう? ~曖昧な言葉の正体を探る~
○財体験 GWT財「なかま分けをしよう」体験
今回のねらい
みんなで考えるとよりよい考えを出すことができる楽しさを味わう
活動を通して、いろいろな見方や考え方に気づく
○ふりかえり:気づいた「協力する」をわかちあう
○財体験 GWT財「もりもりでいこう!」体験
今回のねらい
課題に向かってグループで協力して活動する楽しさや達成感を体験する
グループで協力して活動するときに話し合うことの大切さを体験する
○ふりかえり:気づいた「協力する」をわかちあう
○討議 & 質疑応答
体験が終わって参加者からいただいたフィードバックより
○「協力」の言葉について
・認め合う関係性が根底になければ難しい。
・役に立つこと、貢献すること、苦手なものは抜けられる
・気持ち 不安感を与えない、圧迫しない。
・何を目的に持たせるかによって異なる。
・自分のやりたいことを押さえてみんなに合わせる。協力という名の下に合わせる行為。
○プログラムの流れについて
・ふりかえりの話し合いが2分間だったが5分間くらいほしかった。
・一つ目の財より二つ目の財の方がより協力が強調された。達成感につながる。
・協力は目的があるからするのか。二つ目の財で勝ち負けや何回を目指すとすると協力するのか。
・「なかま分けをしよう」では考えが思いつかず苦しかった。自分の出したものがどう扱われるか不安であった。
○ふりかえりシートについて
・「グループで協力して一つの活動に取り組むときに、あなたが大切にしたいことはどのようなことですか」に戸惑った。今のことを書くのか、今後のことを書くのか。今後のこととすると理想を書いてしまう。今のグループ活動のことをふりかえり、今後のグループ活動のことを書くのがよい。
○その他
・自分がやりたいと前面に出てする子どもがいて他の子どもが出来なかったという場合はどうするか。
→学校は、年間を通して取り組めるよさがあるので日常や次の機会にフォローしていく。
2017/06/17
第18回 日本体験学習研究会 全国大会 報告
今回は、12月から繰り返し検討を重ねてきた「ジョハリの窓」をもとにしたふりかえりシートを使った財を準備していきました。
体験が終わって参加者からいただいたフィードバックより
「心の4つの窓」シートを使ってのわかちあいを経験して
○ふりかえりの仕方について
・ふせんの書き方や渡し方でデモンストレーションがあるとより進め方が分かった。
・もう少し段階を踏んだらよいのでは。いろいろなことがごっちゃになっている。
○①で重ならないことについて
・自分の内側を書いた。他の人は行動。光の当たり方が違う。
・体験学習のふりかえりになれている人は、行動や態度より内面を書いている。内面は重ならない。
・「ことがら」をどう書いてよいか、曖昧になってしまった。これがふせんを受け取ったときに①で重ならない要因になった。
・厳密な人は入れられないと思う。自分はキーワードが一致するくらいで軽く一致させていた。
・③は自分がどういう意図でその行動をしたかということを書いている。だからこれは他の人からは出てこず重ならない。
・自己開示しているのに伝わっていなくて重ならず③になることもある。
・書いてなくても①に貼ってよいとしたらどうか。
→今まで実施したときにも①が重ならない場合があることが分かっていた。「ことがら」ということで行動面を書くように意図していた。
○②「盲点」の欄について
・他の人からもらったふせんを②に貼ったが、自分で分かっていたが書いていないもの、本当に知らなかったものとある。それを区分けする時間があるとよかった。
○ノンバーバル・クラフトについて
・どのような意図でこの財をもってきたか。
→さりげなくはさみをとってあげるなどの行動に気が付く。相手の内面にも目を向けられる。人それぞれの行動について想像を働かせることができる。
・創作する財はよいと思う。
・作っているときに相手の行動を見ていなかった。それを書くように言われるとしんどい。
・グループでやりとりが多い財がよいのでは。グループでどんなことが起こっているかわかりやすい。
○④「未知」の欄について
・自分のシートを見るだけで未知を書くのは難しい。自分の認知が出来ている人は出来ると思うが。
・ふせんのやりとりが終わった後に互いに話が出来ると④を記入する内容のヒントがもらえると思う。
・自己開示、フィードバックを丁寧にしていくことにより出てくる。
○ジョハリの窓の理解について
・最後に広がり、②③が開放になったというまとめでよいのでは。
・これはジョハリの窓を理解することにならない。自己開示やフィードバックの意味に誤解を招くのでは。
・ある程度理解している人にとっては開放領域が広がるというところが実感をもてるのでは。
・初めてだったのでジョハリの窓というものの存在を理解した。
・どのくらいジョハリの窓の理解というところに重点を置くのかという指導者側のねらいによる。
○その他
・相手の言葉を批判ととらえてしまう人がいる。知らない所を教えてもらえたという心持ちになれる。
第17回 日本体験学習研究会 全国大会 報告
体験が終わって参加者からいただいたフィードバックより
○内容について
・「お楽しみ会」という言葉を久しぶりに聞き、本当にやりたいという気持ちをもった。
・始めのブレインストーミングで自分が出した遊びを他のグループが採用してくれ嬉しかった。また、その遊びもそのグループで解釈をし、よりよいものになっていた。
・当事者意識をもてる。高校の文化祭で出し物を決めるときに単純にアンケートを取る方法よりもイメージがもてる。
・課題の最終は、順番を決めてそれぞれの遊びの時間も決めていくというところまで想定されるが、そのうちのどこまでを行うかを明示する。
・時間、内容、プログラムなどを変数と考え、発達の段階に合わせその制約を解除していく。
・「遊園地で遊ぼう」でジュースを2回飲むというような隙みたいな部分も認めていく。
・プログラム作りは始めは企画者の視点で取り組んでいた。話し合いが楽しくなってきて初めの自分の意見にこだわりがなかった。
→子どもは自分の意見を出し合ってその後くっつけるというアイデアが出てくるが、今回のメンバーは始めから意見をくっつけるというような話し合いがなされているように見えた。
・今回の体験は「合意形成の練習」と「本当の所」の間ではなかったか。個を尊重した話し合いをしたいが多くは言い合いで終わる。感情に配慮した話し合いと民主主義的決定は対立概念ではない。今まで客観的と思っていた話し合いにも感情も入っていた。
・感情に関して ジェットコースターの理由としてそれぞれのエピソードまで話せるとよい。そのようなことまで話をするという視点をもてる支援。エピソードを大事にすると決められる。
○話し合いのプロセスについて
・話し合いの時間が短かった。初めて会った人でコンセンサスを取る難しさがあった。今回は知り合いながらできた。今回はこの全国大会の場だから成立した。他の場だったら難しい。今回は決まらなくてもプロセスには満足している。
・初めて会った人でも共感するものは盛り上がる。
・グループ作りの際に全体のメンバーを見る機会があったことにより、参加者の年齢によって選ぶゲームを決められた
・20分間という制限の中で話し合いをもっとしたかった。(プロセスの共有)
・課題に必然性があるほど納得したい。
○財づくりに関連して
・子ども達の実体験に配慮して作る。子ども達にとって無理なのか、やさしすぎるのか、あらいなおして質を上げる。
・プログラムの場づくりと参加者の自由の関係。自由すぎるとプログラムにならないし、制約がきつ過ぎると動かない。ブレインストーミングで出されたゲームの内容が分からないままはじめたこと。元の財では90分でそれぞれのゲームの時間まで制約されている。小学生ではこれくらいの制約をするという判断もある。
○課題シート
・理由を書くスペースを区切ったほうがよい。理由が何を大切にしているかになる。今回は何を大切にしたいかがぼやけてしまった。
・「理由」が他の言葉にならないか。「決めるときの自分の視点」など。
○ふりかえりシート
・2と3でどちらに書くか迷った。
・2の「できましたか」は書きにくい。
・コンテントは聞いていない。プロセスばかり。慣れていない人には書きにくい。
・2は「話し合いのプロセスで起きたこと」「メンバーについて知って感じたこと」のどちらか。
→トレーニングだが、この場でメンバーについて知り合ってほしいという意図
・3 みんなで話し合って何かを「決めるために」を「決めようとするために」するとよいのでは。
→できていなくてもこれからどのようにしていくかという視点ではよいと思う。
・1-③ 「みんなは」だと下の評価の1や2に付けにくい。みんなに対する評価が出てしまうのではないかと心配。「あなたの考え」ではなく「互いの考え」ならまだよい。
・きいてくれてありがとうという気持ちは、上の評価に付けやすい。
→低い数字に付けることはよい、わるいではない。伝えることはよい。おこる感情を出すのとは違う。
第15回日本体験学習研究会全国大会 参加報告
今回のサブテーマは「知り合うから始めよう」としました。第4巻で新しく設定した「知り合う」のカテゴリーについて紹介するとともに、体験してもらった感想を生かしていこうとするものです。
参加者からフィードバックをしてもらう時間では、いろいろな意見をいただきました。講習会ではないので、財についての率直な意見もいただき、今後に生かしていけそうです。
また、今回は全体会で星野先生からお話をいただくコーナーもありました。今まで何度もお話しいただいている「非操作」「受容」「観察」「自己フィードバック」などに加え今回は「プログラムデザイナー」ということで学ぶ人中心のプログラムを作成しているかという点で日頃の自分について振り返る機会をもつことができました。
第14回日本体験学習研究会全国大会 参加報告
今回のサブテーマは「財はくりかえす、気づきは積み上げる」としました。今年度は、同じ財を繰り返し行うことにより子どもの成長が見られるという実践をしている会員がいます。学級でGWTを行うときには、前回のGWTの気づきをふりかえり次の活動に生かすということを行うことができるということを以前から話題にしています。
そこで今回は、参加される方にも同じように複数の財を体験し、その中で前の気づきを生かすことができたかということを問いたいと思い企画をしました。
はじめにミニレクチャー「学校GWTとは」で日常化や一般化に重点を置いた話をしました。そして「みんなあつまれ2」の財を行いました。グループワークになれた人たちが集まっているのでそれぞれ自主的に自己紹介をするなどはじめから打ち解けた雰囲気になっていきました。それぞれ貼り方も工夫していました。
次に、「どこがちがうの?」の財を行いました。この財は今年度の財づくり合宿で作られた新財です。いくつ誤りがあるのか知りたかったという声もありましたが、時間内は探す活動を続けて欲しいこと等の理由で誤りの数は知らせていません。
昼食休憩を挟んだ後、「いろとりどり」の財を行いました。今回は途中でグループを替えずに同じグループで取り組んだので短い時間の中でもそれぞれ役割分担をしながら取り組んでいました。今回は貼り方の例示をしなかったこともあり、平面にとらわれず立体的な鳥ができるなど今までにない作品になっていました。
全体での話し合いでは、次のような感想、質問、意見等をもらいました。
・ねらいを明確にする。
・答え合わせ 事前に誤りの数が分かっていた方が達成感をもてる。
・子どもの中でトラブルが起こる場合は。財実施が成り立たないと予想されるときには。
・教師はファシリテーターとしてどのように関わるか。グループへの介入は。
毎回、こちらが意図した以上の気付きをいただけることが私たちの学びになっていると思いました。また来年も参加していけたらいいと思います。